山本 力三郎さん
大力 店主

〒470-2105
愛知県知多郡東浦町大字藤江字須賀69-1
電話 0562-83-0896

感謝

名古屋で11年ほど、岡崎でも修行をしました。昭和50年にここでお店を始めてから、34、5年になります。現在の藤江はマンションとかいっぱいあって、住宅もたくさんできましたが、当時はお店が数件ある程度でした。 “昔ながらの手打ちうどん屋さん”という願望があって、大変だったけど今まで続けてこれたのは、地元のお客さんが盛り上げてくれたからだと思います。本当にお客さんに感謝しています。

手打ちうどん

うどんを打つにも、いいものを打ちたいけど、なんせ生き物。

季節が4つあると4つ違うし、梅雨時が湿度の関係で1番やりにくい。季節によって塩水の濃さを変えないと いい麺にならない。1回の工程は60食分ぐらいで、ねったものを「ハマ」という鏡餅のような形に6個作り、それを寝かしてから延ばす。丁寧に扱って早くやらないと、特に秋はもたもたしてると「ハマ」が乾く。乾くと、延ばしたり切ったりする時に困るんです。だから1年間真剣にやらないと、いいのができません。毎日が勝負です。

三河の味と名古屋の味はちょっと違う。この辺りは三河に近く、当時は名古屋よりも刈谷市へ行く人が多かったから、店を出す時に悩んだのがそこのところ。自分なりに考え、名古屋と三河の中間をとった味になってます。味噌煮込みの麺と普通のと、2種類打ち分けてます。普通のは塩水で、煮込み用は真水でねる。名古屋は土鍋に麺を直接入れるけど、三河の煮込みは打ち粉を落とすために、麺を1度さっと湯通しをしてから煮込みます。

味を変えないように、出汁、醤油は開店当初から同じ銘柄を使ってます。
樽から搾った醤油は生きてるので、季節によってのびたりする。最初に搾ったのと最後に搾ったのと、ブレンドされてるんだろうけど、それでも新しいのが多い時は、のびが全然違う。古くなってくると、コクが出て甘みがある。量って水が何?、粉が何kg、醤油が何gとかできないんです。量るのは目安なんです。そこからもう一つ踏み込むのは、舌だけなんです。だからこれでいいっていうのは無いんです。完璧ってのは死ぬまで無いんじゃないかな。

出汁を取るコツは、あんまし沸騰させちゃいかんです。出汁がくらくらと、ふわーっと回るくらい。最後に火を止めて追い鰹(花鰹)をぱっと入れる。下へ沈むぐらいに置くと、香りと甘みがぐっと出る。むろあじ、さば、鰹の荒削りでとるなら、20分ぐらいくらくらと回るぐらいに沸騰させる。花鰹の出汁用なら、5~6分でとれる。最後に追い鰹を入れてね。うちは時間をかけて出汁を取るけど、そういうのをおろそかにすると、味が変わるんじゃないかなと思います。