長坂 勝之さん
東浦土建株式会社 代表取締役社長
〒470-2105
愛知県知多郡東浦町藤江柳牛28-1
電話 0562-83-4184
FAX 0562-83-9134
会社の始まり
昭和2年創業、昭和26年に株式会社を設立。紡績会社・織布会社の工場建設等を中心にお仕事をいただいてたと聞いています。転機となったのは昭和34年、東浦町でも大きな被害が発生した伊勢湾台風ですそれまでは公共事業を主力とはしていなかったのですが、官庁からの要請で復旧活動にあたりました。それは本当に大変な復旧活動だったようですが、これをきっかけに公共事業の仕事を中心にやるようになったと聞いています。
私は保育園から小学校、中学校、高校と東浦から出ることがなく、都会にあこがれて大学進学を機に東京へ行きました。年に1回正月に帰るだけになってしまったけど、離れたからこそ気付くこともあり少しずつ自分の進路が定まってきました。
平成2年に東京で、所謂ゼネコンと呼ばれる建設会社に就職し、8年間勤め、平成10年に家業である建設会社に戻り現在に至っています。平成2年というとバブル経済ピークのころで、出来の悪かった私でも拾ってもらえたことを考えると、今の学生さんたちの厳しさは本当に大変だなあと思っています。そんな学生側の売り手市場であった時期ですら、意外にも就職活動に苦労した覚えがあります。
企業訪問に行ったときに、学校の先輩にこんな質問をされました。
「長坂君、製造業も建設業も“つくる“という言い方をするけど違いは何だと思いますか?」
「建設は単品であること、同じものではないことだと思います」と僕は答えました。
先輩は頷いてくれましたが、もうひとつ、請負業であるということを教えてくれました。
製造業の主な契約方式が売買契約であるのに対し建設業は請負契約であるということです。請負というのは「ある仕事を完成することを約束し、その仕事の結果に対してその報酬をもらうこと」です。もちろん売買契約の場合は約束を守らなくてもいいというわけではありません。そもそも契約という言葉が約束という意味ですから。が、作った結果である商品を渡すことによって成立するのが売買契約ですが、ゼロの段階で「こういう結果を出してください。出します」と約束する、ゼロの段階で契約が成立してしまうというのが請負契約だと思っています。
いわば約束に約束を重ねること。誓いを約束することです。建設工事は金額も大きいですし、引き渡すまでの期間が長い取引です。本当にこの建設会社は約束を守ってくれるのか?信用してもいいのか?発注者の心配というものは大変大きく、請負者の責任というのは非常に重いんだよ、ということをその先輩は教えてくれました。
会社が目指すこと
時代の移り変わりもあり、わが国の建設投資額は大幅に減りました。92年がピークだったはずですけど、今はその半分以下ですからね。当然東浦町も愛知県も、それに近い状態だと思います。そんな時代ですから、最近は『新規事業にチャンレンジしなさいよ』と言われます。しかし自分としては本業がうまくやれないまま新しいことにチャレンジしても、上手くいくわけがないと考えています。まだまだやりきってないと思うし、全然きわめてないですから。本業をきわめるというのは難しいことですが、足りない部分や反省する部分を高めていこうよと。
自分の会社だけでなく、工事現場で、工事中にくわえタバコをしたり、ヘルメットをかぶらずに重機を運転するのを見かけたりしますと、とても嫌な気持ちになります。マスコミやテレビで無駄な公共事業と言われ、たたかれるのは僕の中で反発がありますが、しかしかといって僕らは本当にそんな立派なことやっているのだろうか、と思うんですね。少なくとも工事をする時は、皆さんに迷惑をかけながら仕事をやらせていただいているわけで、だからこそきちんとした仕事をやりきった上で意見を返したいなと。
社員教育は、安全や第三者への対応などうるさく言うほうかもしれません。僕らの商売は渋滞も起こしますし騒音も出ます。迷惑をかける中、皆さんに理解してもらえるような動きをとることが大事だと思います。社員はもちろん、協力会社のかたにもうるさいことを直接言うこともあります。今年社内でよく言ってるのは『きちんとした会社になろう』です。コストだけを考えて手を抜くような仕事だけはしたくありません。無事故無災害、安全第一、お客さんからも地域からも信頼されるきちんとした会社を目指します。