阿部 雄二さん
ちゃんこ鍋 照国

〒470-2103
愛知県知多郡東浦町石浜川尻23-1
電話・FAX 0562-84-6983
https://terukuni.in/

横綱 照国

店の創業は昭和48年3月10日です。父が初代で刈谷市で27年、東浦町に移って12年になります。照国という屋号は38代横綱の名前で、照国は僕のおばあさん(父の母親)といとこなんです。父が商売を始める時、照国から名前をもらったらどうかということで、ちゃんこを始めました。相撲の世界は協会が厳しくて、勝手に名前を使えませんから許可がいるんですよ。店内には名前をもらいに行った時の、父と横綱の写真が飾ってあります。

僕は刈谷市で生まれ、小学校へ入る前に東浦へ越してきました。高校を卒業してから写真の専門学校を出て、ブライダルをメインにカメラマンとしてやってました。今はデジカメでたくさんに写せるし、撮った写真をその場ですぐ確認ができますが、当時はフィルムを使っていて、ブライダルというのは撮り直しがきかないですから、ケーキ入刀のタイミングや50~60人の集合写真は大変でした。

仕事は楽しかったけど、自分がやりたい写真と違うなというのと、店が移転する時期が重なったので、カメラマンをやめて店を手伝うことにしました。最初は全くの素人ですから、イオンの水産売り場で3年ぐらい魚をさばくことから始めて。それから昼間に修行がてら半田の和食屋さんで働くようになり、これは今も続けています。もともとお酒が好きだったし、こういう居酒屋の雰囲気や接客も好きなので、自分に合ってると思います。

選ばれる店に

最近結婚をしまして、一家の主として守るものができたというか、それを期に一から自分を見つめなおす意味で商工会に入りました。いろんな人と話すうちに考え方も変わってきたので、入ってよかったなと思います。今までずっと誘われていたのですが、夜は店があるので会合に出れないし、メリットはどうなのかって思うこともありましたが、入ってみたらもっと早く入ればよかったと思いましたね。つながりだけでなく、考え方も変わりましたから。

結婚してわかった事は、結婚するとおこづかい制になるじゃないですか。その月に使える大事なお金を使って、どこへ飲みに行こうかという時に、選んでもらえる店にしたい。料理が美味しいというのはもちろん、居心地がいいとか、あそこへ行けば何かあるんじゃないかという、お客さんの期待が持てるようなお店にしていきたいですね。それには接客も大事だと思ってます。同じ料理に同じ値段で、あと何を選ぶかといったら、従業員だったりしますよね。

この10年は時代が一気に変わりました。今までと同じ事をやるのではなく、新たにお客さんに来てもらえる新メニューを考えたり、いずれランチもやりたいと思ってます。10人乗りのハイエースを買って送迎も始めました。飲酒運転の取り締まりが厳しくなったので、結構利用していただいてます。お年寄りの方や小さなお子さんがいると、なかなか来れないと思うので、家で食べてもらえるようにお持ち帰りもやってます。

ちゃんこ鍋

うちの鍋は、ソップと呼ばれる鶏ガラで出汁を取った醤油味です。うちが守ってるのは、鶏肉を使うこと。相撲は手をつくと負けになるので、四足動物の豚や牛は使わず、縁起を担いで二本脚の鶏肉を使います。ちゃんこ鍋というと、味が濃いとかくどいイメージがあるようなんですけど、うちの鍋はいろいろと野菜が多いので、あっさりしてヘルシーですよ。骨から出汁が出るので骨ごと煮込みます。もう1つの目玉商品、ネギ間は、最初は小さかったんですけど、「ここのは大きいね」と言われるたびにどんどん大きくなってしまって(笑)本当は採算が合わないんですけどね、大きいので皆さんに驚かれます。

地元のお客さんもですが、遠くから来てくれるお客さんも多いのでありがたいです。名古屋から毎月来てくださる常連さんもいたり、遠いところは山形から来てくださる方もいて、年に数回、出張のついでに寄ってくださいます。この店は父がゼロから作って守ってきました。40年も続けるというのはすごいことだと思うので、父が作ってきた鍋の味を守りつつ、試行錯誤しながら自分なりにもう一歩いきたいなと思います。